Twitterのようなマイクロブログサイトを使用して一般の人々向けにリアルタイムでメッセージを発信しているブランドは、消費者からより高いレベルの信頼を勝ち取っている――。ある大手PR会社が実施した調査では、そうした傾向が明らかになった。

 PR会社の米Fleishman-Hillardと市場調査会社の米Harris Interactiveが共同で実施したこの調査では、回答者の約75%が「マイクロブログを利用している企業の方が、利用していない企業よりも、より信頼に値する」と答えている。「マイクロブログを利用している企業」というのは、Twitterのようなサイトに短いメッセージをひんぱんに送信したり、 Facebookのようなソーシャルネットワークサービス(SNS)でステータスをこまめに更新したりしている企業のこと。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1006/24/news042.html

 この調査「Digital Influence Index」はインターネットが消費者の行動に及ぼす影響を調べるための年次調査で、今回が第2回。ニューヨークで開催されたReuters Consumer and Retail Summitで調査結果が発表された。

 メキシコ湾でのBPの原油流出事故、トヨタ自動車やJohnson & Johnsonのリコール問題、Procter & Gamble(P&G)の新しい紙おむつに対するFacebookでの批判の高まりなど、昨今は大手企業が危機的状況に置かれるケースも増えているが、そうした中、今回の調査結果でとりわけ注目に値するのは、Twitterに対する消費者の意識だ。

 「今、本当に重要なのは、企業が長年培ってきた危機管理の原則は今でも有効ではあるものの、要求されるスピードがはるかに高まっているということだ」とFleishman-HillardのCEO、デーブ・セネイ氏はReutersの電話取材に応じ、語っている。

 「教訓の1つとして言えるのは、過剰反応せず、事実に基づく情報にのみ対応し、自分が知っている以上のことに反応しないということだ。そして、そうした対応は24時間サイクルではなく、分刻みで行う必要がある」とさらに同氏。

 また企業は、何か問題が起きる前に、日頃からデジタルの世界にうまく馴染んでおく必要があるという。「顧客との間で信頼関係を構築し、その信頼によって危機を乗り越えられるようにするのだ」とFleishman-Hillardのデジタル調査担当上級副社長、ブライアン・マクロバーツ氏は指摘する。

 Fleishman-HillardはOmnicom Group傘下のPR会社で、Johnson & JohnsonやP&Gなどの企業に各種のコミュニケーションサービスを提供している。今回の調査は、米国や中国を含む計7カ国の4243人を対象に2009年12月から1月にかけて実施された。

 さらにこの調査では、圧倒的多数の回答者が「購買意思決定にはインターネットを使っている」と答えており、「各種の商品や電子機器を購入したり、旅行を予約したりする際の選択肢の比較にWebを役立てた」と答えた回答者が全体の90%近くに上っている。

 一方、消費者は、商品を宣伝することで恩恵を受けていると思われるWebソースはあまり参考にしないようだ。76%の回答者は、「企業から無料サンプルをもらってその感想を記事にしているようなブロガーの情報はあまり信用しない」と答えている。

 なお、60%近くの回答者が「購買意思決定における影響力という点でインターネットの中心的な役割は向こう2年間変わらないだろう」と予想しているのに対し、39%は「より重要性を増すだろう」と答えている。しかし企業の投資という点では、オンライン広告は世界の広告支出の約14%を占めている。